私(河野)は、弁護士を15年以上続けてきました。
その中で、弁護士に対する様々な不安・不満を耳にしてきました。
また、2021年度には京都弁護士会副会長を務めたこともあり、市民の皆様から、依頼中の弁護士に関する様々な相談や苦情を聞いてきました。
そこで今回は、依頼者が弁護士に不安・不満を持つ3つの典型例を解説します。
現在弁護士に依頼していて、不安・不満をお持ちの方は、どれに当てはまるか確認してみてください。
【結論】3つの典型パターン
- 弁護士に問題がある
- 依頼者が過剰な期待・要求をしている
- どちらにも(大きな)問題はない
①弁護士に問題がある
たとえば、次のような場合です。
- 弁護士と一度も会わせてもらえず、すべて事務員が対応している
- 委任契約書も結ばず、費用に関する説明もない
- 長期間連絡が取れず、きちんとした理由の説明もない
- 依頼してから長期間動きがなく、きちんとした理由の説明もない
- メンタルに問題を抱えている
- 暴言を吐く
一口に弁護士と言っても、色んな弁護士がいます。
しかし上記の場合は、単に「色んな弁護士がいる」では片付けられない、客観的に見て問題のあるケースです。
こういったことがあれば、依頼者が不安・不満を持つのは当然です。
問題の改善が見込めない、あるいはすでに信頼を失っているようであれば、弁護士を変えるのも一つです。
②依頼者が過剰な期待・要求をしている
弁護士に問題はないのですが、依頼者が過剰な期待・要求をしていることが原因で、不安・不満につながるパターンです。
たとえば、依頼者が次のような期待・要求をしている場合です。
- 全部言うとおりにして欲しい
- 自分のことを常に最優先で対応して欲しい
- いつでも連絡がつくようにして欲しい
- 絶対に勝ってほしい
- メンタルのフォローもして欲しい
- 弁護士費用を無料にして欲しい
- 相手を脅してでもお金を回収して欲しい
残念ながら弁護士は、これらの期待・要求には応えられません。
ところが依頼者がそれを知らない場合、不安・不満を持ってしまうわけです。
自分が過剰な期待・要求をしているのか?
それとも通常の期待・要求しかしていないのに、弁護士に問題があるのか?
この区別はとても大事です。
解決策としては、依頼中の弁護士と話し合ってみるのは一つです。
たとえば、「自分はこうして欲しいと思っていますが可能ですか?」と尋ねるのは良いと思います。
あるいは、他の弁護士にセカンドオピニオンを求めるのも一つです。
③どちらにも(大きな)問題はない
ここまでは、依頼者・弁護士どちらかに問題があるパターンをあげました。
3つ目は、「どちらにも(大きな)問題がないパターン」です。
依頼者が不安・不満を持つパターンとしては、おそらくこれが一番多いでしょう。
弁護士は、弁護士の仕事内容やペース、裁判の仕組みなどもよく知っています。
他方で依頼者は、「弁護士に依頼するのは初めて」という方も多く、弁護士や裁判などのことをよく知らない方が大半です。
その結果、依頼者と弁護士の認識や感じ方にギャップが生じてしまい、不安・不満につながります。
このパターンは、
- 依頼者と弁護士のコミュニケーション不足
- 過剰とは言えないまでも依頼者の期待や要求が大きい
- 弁護士の説明不足
こういった場合に起きやすいです。
ただ、依頼者・弁護士に(大きな)問題はないので、きちんと話し合ったり説明すれば、信頼関係を維持できる場合が多いでしょう。
弁護士としても、きちんと説明・報告することを心掛けています。
ただ、依頼者によって気にする程度やポイントは違いますし、業務の都合でスムーズに連絡が取れないことがあるのも実情です。
弁護士とは長い付き合いになることも多いので、お互いに良い関係を築いていく意識が大事だと思います。
まとめ
依頼者が弁護士に不安・不満を持つ典型パターンは、次の3つです。
- 弁護士に問題がある
- 依頼者が過剰な期待・要求をしている
- どちらにも(大きな)問題はない
ただ、ご自身がどのパターンに当てはまるか判断が難しいケースも多いと思います。
当事務所では、セカンドオピニオンサービスを行っておりますので、よろしければご利用ください。
これは決して、「弁護士を変えること」を前提としたものではありません。
問題がないとわかれば、安心感・納得感を持って依頼を続けてください。
他方、問題があるとわかれば、なるべく早く問題を改善してください。
その判断のお役に立てればと思います。