相続のことは「相続専門の弁護士」に相談すべき?

親(兄弟姉妹)が他界して相続手続き(遺産分割)をしたいのですが、相続専門の弁護士に相談する方法はありますか?

遺言書作成など相続対策の相談をしたいのですが、やっぱり相続専門の弁護士が良いんでしょうか?

相続のことは相続専門の弁護士に相談したい。そのお気持ちは、よく分かります。
そこで今回は、このような疑問にお答えします。

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そもそも弁護士に「専門」はない

目のことなら眼科、歯のことなら歯科、風邪をひけば内科といった感じで、怪我や病気の内容によって「専門」の病院へ行くのが普通です。

ですから相続なら相続専門、交通事故なら交通事故専門、離婚なら離婚専門の弁護士に相談しよう思うのは当然です。

しかし弁護士には、そもそも「専門」という概念がないんです。

その理由は、日本弁護士連合会(弁護士全員が強制加入している団体)の「業務広告に関する指針」に書かれています。

「業務広告に関する指針」というのは、弁護士がホームページなどを作る際の指針です

一般に専門分野といえるためには、特定の分野を中心的に取り扱い、経験が豊富でかつ処理能力が優れていることが必要と解されるが、現状では、何を基準として専門分野と認めるのかその判定は困難である。

(日本弁護士連合会「業務広告に関する指針」より引用)

普通は、「専門と名乗っているからには裏付けがあるんだろう」と思いますよね。

ところが、弁護士は全員同じ試験に合格し、司法修習という同じ研修を受けて弁護士になります。

それ以上に、「◯◯専門」と名乗るためのトレーニングや試験はないので、「この弁護士は◯◯専門ですよ」と認定する客観的な基準がないんです(おそらくこの先も作られません)

そういった状況で、「各弁護士が自己判断で専門と名乗って良いですよ」というルールにしてしまうと、基準があいまいになります。

日本弁護士連合会も、

経験及び能力を有しないまま専門家を自称するというような弊害も生じるおそれがある

(日本弁護士連合会「業務広告に関する指針」より引用)

と危惧しています。

ところが相談を考えている人には分からないので、「専門弁護士なら安心だ!」と信じてしまいます。

それくらい、「専門」という言葉は強いんです。

「専門」と名乗っても良いか?

日本弁護士連合会としては、

表示を控えるのが望ましい

(日本弁護士連合会「業務広告に関する指針」より引用)

としています。

同じ理由で、スペシャリスト、プロ、エキスパートといった表現も「表示を控えるのが望ましい」とされています

「表示してはならない」ではなく、「控えるのが望ましい」としているのですが、大半の弁護士がこれに従っています

これが、いくら皆さんが「相続専門の弁護士」を探しても出てこない理由なんです。

相続は、多くの弁護士が取り扱っている分野

相続は、一部の弁護士しか扱っていない特殊な分野ではなく、弁護士の取扱分野としては非常にオードソックスです。

ですから、「相続を扱っている弁護士を探すこと」自体は簡単です。

ただ、「相続を扱っている」ということと、「その弁護士が持っている知識や経験」は別の話です。

また相性の問題もありますから、「相続を扱っている弁護士なら、どこに頼んでも同じ」ということはありえません。

「弁護士選び」はなかなか難しい問題ですが、とにかく一度相談してみて、その弁護士のアドバイスの内容、話し方、雰囲気などを見てみるのはオススメです。

しっくりこなければ、別の弁護士に相談してみるというのもアリです。

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執筆者

弁護士 河野 佑宜のアバター 弁護士 河野 佑宜 こうの法律事務所 代表弁護士

2007年に弁護士登録し、2015年に「こうの法律事務所」を開設。
民事・刑事問わず幅広く取り扱う弁護士として活動。
2021年度 京都弁護士会 副会長を務めたほか、京都弁護士会の複数の委員会で委員長・副委員長を務める。

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