遺産分割協議とは?具体的な意味と方法を弁護士が解説

京都市中京区にある、相続に力を入れている「こうの法律事務所」です。

親や兄弟姉妹などが他界した場合、遺言がなければ遺産分割協議が必要です。

遺産分割協議というのは、具体的にどういう意味なんだろう?

具体的な方法や手続きを知りたいです

今回は、こういった疑問にお答えします。

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遺産分割協議とは?

親や兄弟姉妹(=被相続人といいます)が他界したときに、法定相続人が、被相続人の相続財産(遺産)をどのように分けるか話し合うことです。

通常は遺言書がない場合に行いますが、遺言書がある場合でも、法定相続人全員が同意の上、遺言書とは異なる相続をする場合も遺産分割協議を行います。

遺産分割協議の具体的方法

ここからは、遺産分割協議の方法を順番に解説します。

STEP
法定相続人を確定する

遺産分割協議は、法定相続人全員が参加しないと無効になります

ですから、まず「法定相続人が誰なのか?」ということを確定します。

法定相続人を確定する方法は?

被相続人の出生から死亡までの戸籍を取ります

連絡が取れない相続人がいる場合は?

面識はあるけど住所や連絡先が分からない場合、そもそも面識がない場合、生死不明の場合、海外にいる場合など、状況によって方法は異なりますので、一度弁護士に相談することをお勧めします

STEP
遺産を確定する

遺産は、どこかに問い合わせれば全て分かるような仕組みではないので、預金・不動産・株式・車などを地道に調査する必要があります。

遺産を全て把握しないと協議はできないのですか?

「協議後に新たに遺産が発見された場合は改めて協議する」ということで、分かっている遺産について協議する方法も可能です

被相続人と同居していた相続人が通帳を見せてくれない場合は、銀行から入出金履歴を取り寄せる方法もあります。

ただ、そもそもどこの銀行に預金があるのか、預金以外に何があるのか見当もつかない場合は、弁護士に相談して進め方を考えることも有効です。

STEP
遺産分割協議を行う

最終的に全員が同意する分け方を決めれば良いので、協議の方法に決まりはありません。

全員が同じ場所に集まって話す必要もありませんし、電話やLINEを使いながら進めても構いません。

遺産の分け方には、主に次の4つがあるので参考にしてください。

①現物分割

遺産をそのままの状態で分ける方法です。

たとえば預金はAさん、不動産はBさん、株式はCさんが相続するという形です。

②換価分割

現金ではない遺産(不動産や株式など)も全て現金化して分ける方法です。

現物分割に比べて相続分を均等にしやすいですし、数字がハッキリするので分かりやすいです。

ただ、たとえば不動産を売却するには仲介料・登記費用・司法書士報酬・税金などの諸費用が掛かることも念頭に置く必要があります。

③代償分割

ある相続人が相続分以上の財産を受け取る代わりに、差額を現金で払う方法です。

少しイメージしづらいと思いますので、次のケースで説明します。

  • 相続人:兄と弟
  • 遺産:現金500万、不動産1000万
  • 各自の法定相続分:(500+1000)÷2=750万

兄が不動産、弟が現金を相続すると、本来相続分は750万なのに、兄は250万多い1000万、弟は250万少ない500万を相続することになって不公平です。

そこで兄は多くもらった分、自分の預金から弟に250万渡して、結果的にどちらも750万相続したことにするという方法です。

単純な例で説明しましたが、相続人がもっと多かったり、不動産が複数あるような場合は、もっと複雑になります。

そして、今はあえて「不動産1000万」と言いましたが、この評価自体も争いになります。

不動産をもらう兄は評価が低いほうが得ですし、弟は評価が高い方が得なので、争いになるわけです。

④共有分割

不動産など共有(=複数名で所有すること)できるものを、共有状態にする方法です。

共有にすると、その共有者が他界した場合に大変ですし、あまり選ばれない方法です。

共有分割を選ぶといっても、全ての遺産を共有する必要はありません。

3つある不動産のうち1つだけ共有にして、残りはそれぞれに分けることもできます。

STEP
協議が成立したら遺産分割協議書を作って実際に分ける

無事に協議が成立したら、その内容を遺産分割協議書にまとめて、全員が署名・押印をします。

特に相続登記や銀行口座の解約を行う必要がある場合は、きちんとした協議書を作る必要があります。

協議が成立しない場合は、どうすれば良いか?

家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。

調停は、調停委員をまじえて話し合う手続きです。

それでも話し合いがまとまらない場合は、裁判官が分割内容を決める審判という手続きで解決します。

弁護士に依頼したら、どういうことをしてくれるの?

こちらの記事で解説しています。

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まとめ

遺産分割の意味と具体的な進め方を解説しました。自己判断で進めると失敗したり損をすることもありますので、少しでも不安や疑問があれば弁護士にご相談ください。

執筆者

弁護士 河野 佑宜のアバター 弁護士 河野 佑宜 こうの法律事務所 代表弁護士

2007年に弁護士登録し、2015年に「こうの法律事務所」を開設。
民事・刑事問わず幅広く取り扱う弁護士として活動。
2021年度 京都弁護士会 副会長を務めたほか、京都弁護士会の複数の委員会で委員長・副委員長を務める。

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